2020.10.09 第28回日本乳癌学会学術総会にて当院長が発表を行いました。
令和2年10月9日(金)〜10月31日(土)第28回日本乳癌学会学術総会WEB開催において、「当院における非浸潤がんの臨床的検討」について、当院長が学会発表を行いました。
第28回日本乳癌学会学術総会
「当院における非浸潤がんの臨床的検討」
The clinical examination of non-invasive breast cancer in our clinic
非浸潤がんの時点で局所治療を行えばほぼ完治が期待でき、非浸潤がんの拾い上げは重要である。当院で手術を行い、非浸潤がんの診断であった症例の臨床所見、画像所見、穿刺吸引細胞診、組織診を後ろ向きに検討した。
(対象)2015.10月1日から2019.12月30日までの期間に手術を行い最終病理結果が非浸潤がん(乳管がん、小葉がん)と診断された27例。
(結果)27例中血性乳頭分泌を5例、腫瘤を4例に認め、18例は検診異常または症状なしであった。マンモグラフィー検査は27例中21例に所見を認め、その中で12例はカテゴリー 3以上の石灰化、9例はFAD、腫瘤、構築乱れだった。エコー検査は27例全てに所見を認め、その中で17例に腫瘤病変を認め、10例は非腫瘤性病変であった。high gradeDCISとnon highgradeDCISでエコー所見をみると、腫瘤病変の中の17.6% (で3/17)、非腫瘤病変の30.0%(3/10)がhigh grade DCISであった。構築乱れを呈した42.9%(3/7)が、構築乱れを認めなかった15.0%(3/20)がhigh gradeDCISであった(p値 0.0016)。MRI検査を施行した21例中19例で乳がん疑いの結果で、2例は乳腺症の結果であった。細胞診は穿刺吸引細胞診を25例に、乳頭分泌細胞診を1例に行った。全ての症例はclassIII以上であり、classVの確定診断がついたのは26例中14例だった。マンモトーム生検を行った19例中16例は非浸潤がん、他3例はADH、乳頭腫(2例とも術後最終病理診断で非浸潤がん)、検体不良であった。
(考察)DCISのエコー所見は腫瘤病変、非腫瘤性病変が63.0%、37.0%,だった。High grade DCIS、non-high grade DCISでエコー所見をみてみると、腫瘤病変かどうかは相関なかったが、構築乱れの有無は相関を認めた。また細胞診のみでは非浸潤がんの確定に至らない症例も多く、細胞診結果がclassIII以上の時は積極的にマンモトーム生検やその次の段階で切除生検を行う必要があると考えられた。
(結語)非浸潤がんの拾い上げには画像検査(マンモグラフィー、エコー、MRI検査)、細胞診、組織診を順次適切にすすめることが重要である。またエコー所見では腫瘤病変以外に、構築乱れを拾いあげることがhigh grade DCISの拾い上げに重要である。